WE ARE THE NORTH WEST

#61【今週のブレイザーズ】Week17/Push

Week17──トレード期間も無事終了し、それぞれのチームの方向性は見えてきました。未来を見据えてホワイトフラッグを掲げたチーム、突き進む準備が整ったチーム。さあ、ブレイザーズは突き進んで行くだけです。



#53 2月5日(火) vs マイアミ・ヒート

DAME & Dウェイド
cold dance 1Q 2Q 3Q 4Q END
Heat (25-27) 34 28 32 24 118
Trail Blazers (32-21) 30 25 24 29 108
HIGHLIGHTS
BOX SCORE

ハートブレイカ

ホワイトサイドをはじめ、ヒートのタフショットはことごとくリムに吸い込まれました。パスが上手くつながった、というよりも個々のアイソが爆発的で、ブレイザーズにとっては不運とも言えるような試合でした。リバウンドもヒート優位で、セカンドチャンスは彼らに分がありました。ブレイザーズは背の高いチームに苦戦する、というイメージが拭えないんですが、この日はその通りに苦戦していました。

また、ホワイトサイドの身長と分厚い肉体は、ヌルキッチにとって侵入不可能な壁にしか見えませんでした。リバウンドを取りに行くスペースを奪えず、PNRでも軽く捻られる。パスのスペースも上手く封じられ、手も足も出ませんでした。

ヌルキッチのプレイスタイルは、相手より強い自身の肉体を使うことを主体としています。それが全く通用しない相手とのマッチアップでは、何の力も発揮できません。それでも、最近の進化とゴベールに対してのプレイもあり、今回こそはイケるかなと思っていたんですが...まだホワイトサイドとのマッチアップは悪夢です。

hot play PTS FG REB AST STL BLK
ハッサン・ホワイトサイド 28 11/12 11 0 4 2
ドウェイン・ウェイド 22 9/17 9 3 0 1

また、ベンチからウェイドがスパークを起こしました。前回もそうでしたが...またも時間が巻き戻ったかのようなフェイダウェイを披露してくれました。彼とターナーのマッチアップで、完全敗北してしまったことが敗因の一つです。最後のポートランドで、強烈な印象を残してコートを去ります。

多くの選手が絶好調の日、というのはシーズンを通してもあまりありませんが、この日はまさしくそうでした。"ホームよりロードの方が強い"チームである彼らに、いきなり勢いを持っていかれてしまい、中盤は完全に試合をコントロールされてしまいました。


ハートブレイク

試合の流れは前回と同じでした。ウェイドの爆発的な試合、ホワイトサイドの絶対的な支配。この2つを克服することができず、久々の"スリップ"となりました。マッカラムレイマン以外の選手たちはサッパリダメでした。リラードのショットナンバーはシーズンワーストに近いものでしたが、そういう日の彼はパサーに切り替えてきます。

熱くなっていた2人のエネルギーで何とか勝ちに変えたかったんですが、一気に追いついて引き離す力まではありませんでした。多くの選手が冷え切った試合は、どんな相手にも勝つことは難しいです。たっぷりオフを過ごしたはずなんですが...一度気を引き締め直す必要があるようです。また、3Qまでリードされていたら負ける神話は引き続き継続しています。つまり、カムバックは3Qまでに済ませなければいけないようです。

cold day PTS FG 3P REB AST STL
CJ・マッカラム 33 13/25 7/14 5 2 1
ジェイク・レイマン 25*1 11/17 2/6 8 2 1
その他 50 18/57 6/20 20 26 4

敗北の中の光は、三度レイマンでした。彼はいつも前を向いてプレイし、チームにポジティブな光を与えてくれます。キャリアハイの25得点。32分の出場は、ガーベージを抜いた中ではキャリアハイです。直近の安定したプレイは、ただただスゴイです。

Last 15-game MP PTS FG% 3P% REB AST STL BLK TO
ジェイク・レイマン 23.1 12.2 .555 .370 4.1 1.3 0.3 0.4 0.5

ヌルキッチ機能しない試合や、リラードのショットが入らない日は多々起こります。そういう日に得点の枯渇を避けるためにも、安定したスコアラーがもう1枚欲しい。そう思わせられた試合になりました。


ベストプレイ:LA LA LA LAST

Dウェイドは、永遠にDウェイド。


#54 2月7日(木) vs サンアントニオ・スパーズ

TEAM LEBRON
Re Start 1Q 2Q 3Q 4Q END
Spurs (32-25) 34 23 33 28 118
Trail Blazers (33-21) 31 39 26 31 127
HIGHLIGHTS
BOX SCORE

備えあっても

前日のウォリアーズ戦で主力のオルドリッジ&デローザンを休ませ、次戦での必勝に期していましたが撃沈。長い長いロードトリップの星勘定は、想定通りとはいきません。現在のスパーズは、永遠のようにも思えたWin-Nowモードを終えようとしています。始まりがあれば終わりがある。NBA史に残る"フランチャイズコーチ"の晩年は、どのような形で終わるのでしょうか。

この日は、シーズン2番目に悪い18TOを出し、スパーズらしからぬ転倒試合でした。そのうちオルドリッジ、デローザン、ゲイで13TO。彼らは多くの得点を稼ぎましたが、同じだけボールを手放し、ファストブレイクとTO得点をあまりにも多く諦めました。

outsiders PTS FG 3P REB AST TO
デマー・デローザン 35 14/28 - 6 6 5
ルディ・ゲイ 25 10/15 5/6 3 2 4
ラマーカス・オルドリッジ 17 7/19 - 10 1 4

最大21点差をつけられたものの、ゲイ4連続スリーが絡んでゼロに縮めたところがピーク。決して抜き返すことはなく、頼みのオルドリッジ&デローザンも終盤に沈黙。守備も崩壊し、あっさり点差は広がっていきました。万端で挑んだはずですが...この敗北は苦いです。


Welcome To Rip CIty

毎年おなじみのトレードデッドラインはブレイザーズとは無縁の喜劇ですが、それでもゴードンミロティッチといった"大きな魚"を追ってほしいと願っているファンでごった返しています。今のブレイザーズにとって、目先の利益は何よりも大事です。しかし、彼らはマッカラムコリンズを諦めてまで獲得するべき選手なのでしょうか。昨年、ジョーダンヌルキッチをトレードしていたら...?それは、近視的でただのバカげたものになっていたでしょう。

毎年人それぞれの考えがあると思いますが、僕はこのチーム(コア)に対して保守的なことに賛成です。天井を打ったとか、どうせプレイオフで上に行けないとか。現実を突きつけられると、大型トレード!大型トレード!と思いたくもなります。しかし、チームのリーダーは決して大きなトレードを望んでいません。根幹を揺るがすようなトレードは刺激物ですが、副作用は避けられません。文化を大切に、そして勝利を。それが、このチームの道筋であってほしいです。

アンソニーデイビスのチームは近視的な契約とトレードを連続して行った結果、すべての資産を出し尽くした結果、最終的に最悪の事態を招くことになりました。それはすべてのチームにとって教訓となるべき悪夢です。

そして、ブレイザーズの目玉はロドニー・フッドリラマコの守備を補う防御中心の編成に風穴を開けることが選手です。今までは攻守のバランスを取ることに必死でしたが、リラード/マッカラム/レイマン/フッド/ヌルキッチというラインナップは、ディフェンスをかなぐり捨てた最強の攻撃的布陣です。それは、新しいスタイルと武器をもたらします。

first look PTS FG 3P REB STL
ロドニー・フッド 14 6/7 2/3 3 1

0:59:COOOOL!!!

キャブスとは上手く行かなかったようですが、ブレイザーズはそのような選手を歓迎します。彼のオフェンススタイルはチームのニーズにピッタリ合います。TOを滅多に犯さないハンドル、ミスマッチの利用、そして平均以上のスリーポイント。1日目からこれだけのプレイをできる選手は、中々いません。守備は得意ではありませんが、敵を中に入れてヌルキッチに何とかしてもらいましょう(笑)。

また、彼の加入によりマイヤーズコリンズのどちらかがローテ落ちの危機にあります。この2人がフロアにいるとき、ボールムーブに詰まってしまうことが多々あります。どちらもPFを上手くこなすことが出来なかったので、当然の選択でしょう。攻撃優先なら前者、守備優先なら後者で使い分けていくしかありません。



出会いあれば、別れあり。この季節にやってきた選手は2人。去った選手は3人。やってくる選手に胸を躍らせながらも、去っていった彼らが新たな土地で羽を広げられるようになることを、心から願っています。

2019.2.4 Traded
Blazers獲得 Cavs獲得
ロドニー・フッド ニック・スタウスカス
ウェイド・ボールドウィン
2021年2巡目権(POR)
2023年2巡目権(POR)
2019.2.7 Traded
Blazers獲得 Kings獲得
スカル・ラビシーレ ケイレブ・スワニガン

スワニガンのトレードはショックでした。3年目になる来シーズンにこそ、彼の時間が来ると思っていただけに残念です。彼がチームに貢献できていなかったことは事実ですが、このトレードが行われた最大の理由として、2020年のキャップスペースを開けるためであることが考えられます。

スワニガンの4年目(366万ドル)を浮かせ、今シーズンのサラリーがより少ない選手とトレードすることで、わずかながら税を低く抑えました。毎年おなじみの地味な動きですが、2020年のオフはかなり大事なので、代償無くキャップを浮かせた一理ある動きです。

スタウスカスボールドウィンは最終的に解雇されました。彼らはそれぞれ"自分の瞬間"を持っていましたが、継続することが出来ませんでした。わずかなチャンスを逃さず、結果を残し続けた選手だけが生き残っていく厳しい世界。残った選手たちは振り返らず、前を向いて走るしかありません。


ノーガードの殴り合い。そんな試合でしたが、最終的な火力でブレイザーズが上回りました。最近おとなしかったヌルキッチに存在感がありました。オフェンスでは敵の予想を超えたパスを出し、PNRも悪用しました。それ以上に、ディフェンスが良かったです。常にオルドリッジとマッチアップし、多くのTOを誘うことに成功。中々のインテリアディフェンスを見せてくれました。

リラードのスリーが0/7本でしたが、毎年シューティングにはバイオリズムがあることを知っています。今シーズンは序盤に波が来ましたが、今は徐々に下降しています。彼のゲームの進化は、そのような日でも効果的な役割ができているところにありますが、この日はそれを体現していた素晴らしい試合でした。シーズン2回目の5スティールは、驚きです。

レイマンフッドがベンチから大きな役割を果たしたことで、ハークレスアミヌも従来通りの分数とはいきません。今までは彼ら以外にまともなウィングがいませんでしたが、嬉しいことにウィングの選択肢が増えたので、今後は適材適所の配置がカギとなってきます。


ベストプレイ:DAME SPEED

これは...盛り上がる!


#55 2月10日(日) at ダラス・マーベリックス

one point game 1Q 2Q 3Q 4Q END
Trail Blazers (33-22) 24 33 35 9 101
Mavericks (26-29) 25 22 31 24 102
HIGHLIGHTS
BOX SCORE

眩しすぎる未来

マブスはもうプレイオフ射程圏内から外れました。大規模なトレードを行い、ドンチッチをビルディングブロックとして一から構築する体制に入りました。昨年、センセーショナルなルーキーシーズンを送ったはずのスミスJr.は、決してフランチャイズの礎石となることはありませんでした。

Mavs獲得 Knicks獲得
クリスタプス・ポルジンギス デニス・スミスJr.
アンドレ・ジョーダン
ティム・ハーダウェイJr. ウェズリー・マシューズ
コートニー・リー 2021年1巡目(DAL)
トレイ・バーク 2023年1巡目(DAL)*2

ドンチッチのような選手は、若すぎる選手とのペアに良い化学反応を見ません。彼はもうすぐ20歳になりますが、精神年齢は計り知れません。そのため、ある程度のキャリアを積んでいるポルジンギスとのコンビは安心して見られると思います。ヨーロッパ最高の2つの才能が、どのようなプレイをするのか。マブスは単純に今後が最も楽しみなチームであり、見続けていきたいと思わせるチームです。

また、トレードで加入したハーダウェイJr.は恐れ知らずのスコアラーとして向かってくる姿勢に素晴らしいエネルギーがありました。ニックスのときも怖いスコアラーだとは思っていましたが、チームのセカンドスコアラーになって、より一層怖さが増しました。

from atl→nyk PTS FG 3P REB AST TO
ティム・ハーダウェイ Jr. 24 9/18 2/7 4 3 1

ドンチッチクラッチプレイはこの日も安定していましが、4Qの守りがすべてでしょう。TOを多く引き出したスミスのディフェンスも、静かに光っていました。稼働人数が少ない中で掴んだ、ビッグウィン。今シーズンに未来は無くても、"本当の未来"は明るすぎます。


トラブル

4Q7TO&9得点。敗北の原因は4Q。それだけです。

nightmare PTS FG 3P REB AST STL BLK TO
Blazers 4Q 9 3/18 0/6 11 1 0 0 7

ホワイトサイドは悪夢マッチアップの一つですが、もう一つの悪夢は5OUTです。ジョーダンを放出したことにより、ストレッチ4から5に移ったクリーバーのような選手とのマッチアップは、ヌルキッチにとってやや厄介なものです。まあ、この程度のマッチアップで簡単に崩れているようでは...そこまでの選手だったということですが。

マブスは5OUTの代償として、ペイントディフェンスを放棄しています。前試合のバックス戦で80ペイントポイントを許しており、多少手こずっても最後はヌルキッチのごり押しで何とかなるはずだと思っていました。しかし、前半が終わった時点でヌルキッチ&コリンズが3ファウル。後者は例のように不可解な笛が混じっていましたが...このファウルトラブルは危険な匂いしかしませんでした。

big trouble PTS FG REB AST TO PF
ユスフ・ヌルキッチ 18 9/11 10 1 2 6
ザック・コリンズ 7 3/3 9 1 2 5

2Q前半のコリンズのディフェンスと、3Qのリラード21得点というハイパフォーマンスにより大幅なリードを取りましたが、6ファウルでコートから去ってしまったヌルキッチと増幅したTOは、そのリードを保つのに十分ではありませんでした。もちろん、最後のあのショットが決まっていれば...すべては逆転していたんですが。

また、3Qまでリードしていたら勝つ神話が崩れました。いつかはそんな神話が終わることを知っていましたが、できればもう2度と起こしたくありません。ヌルキッチコリンズの両方がファウルトラブルに巻き込まれないようにしなければいけません。


ベストプレイ:⌚DAME ZONE ON⌚

デイム。デイム。


Week18のブレイザーズ

#56 2月11日 (月) at オクラホマシティ・サンダー

目指すべき第3シードにいる敵の背中に近づくチャンス。再びB2Bロードで、厳しい戦いは必至だが、それでも勝ちをつかんでいかなければいけない試合。ジョージさえ抑えられれば勝機は十分にあるはずだが、いかんせん覚醒モードに入っているため、ビッグゲームは避けられない。余計なTOを出さず、多くの選手が熱くなることに期待。


#57 2月13日 (水) vs ゴールデンステイト・ウォリアーズ

オールスタードリームチーム。勝てるイメージはゼロでも、向かっていくしかない試合。ヌルキッチを全面に押し出しつつ、レイマンフッドというウィングたちが攻撃的になり、全力で敵を揺さぶって勝機を見出したい。オールスターブレイク前、ラストゲームは最高の試合を。


*1:キャリアハイ

*2:トップ10プロテクト