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#38【NBAドラフト2018】指名結果と感想

電撃トレードが起こることなく、比較的静かに終わった2018NBAドラフト。予想は全く当たりませんでしたが(笑)。(数字)は予想したときの順位、年齢は2018-19シーズン開幕時(昨年10月17日)の年齢表記です。

・1巡目前半(1-14位)予想編はこちら→【NBAドラフト2018】指名予想・1巡目前半編
・1巡目後半(15─30位)予想編はこちら→【NBAドラフト2018】指名予想・1巡目後半編
・2巡目(31-60位)予想編はこちら→【NBAドラフト2018】指名予想・2巡目編


アトランタ・ホークス 2017-18成績:24勝58敗 (28位)

順位 ポジション/名前/所属/年齢 主な成績
5位(6) PG トレイ・ヤング オクラホマ 20歳 27.4pts, 8.7ast, 3PA10.3, 1.7stl
19位(38) SG ケビン・ハーター メリーランド 20歳 14.8pts, 3.4ast, FG50.3%, 3P41.7%
30位(37) PF オマリ・スペルマン ビラノバ 21歳 10.9pts, 8reb, 1.5blk, 3P43.3%

ポイント:フランチャイズプレイヤーの発掘

今シーズンからタンクに入り、再建がスタートしているチーム。問題児、デニス・シュルーダーとホークスの関係は破綻。代わるポイントガードにヤングを置きます。トレードダウンにより1巡目指名権も獲得し、幸先の良いスタートを切っています。

ホークス獲得 マーベリックス獲得
トレイ・ヤング(5位) ルカ・ドンチッチ(3位)
2019年1巡目指名権(DAL)*1

ジョン・コリンズ(2017年19位)とともにチームを引っ張るヤング、すばらしいシューターになるであろうハーター、弱いリム下を護るスペルマンの指名は適材適所の好指名です。しかし、まだ再建に入った段階で、才能が不足しています。

ヤングはステフィン・カリー(GSW)に、ハーターはクレイ・トンプソン(GSW)に例えられることが多く、これがそのまま"アナザースプラッシュブラザーズ"のようになれば理想ですが...。

ドラフト結果:90点




ボストン・セルティックス 2017-18成績:55勝27敗 (4位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
27位(13) C ロバート・ウィリアムズ テキサスA&M 21歳 10.4pts, 9.2reb, 2.6blk, FG63.2%

補強ポイント:リムプロテクター

過去の名選手が残してくれた遺産から生まれた"超有望若手ユニット"であるジェイソン・テイタムジェイレン・ブラウンがルーキー契約のうちにリングを狙いたいセルティックス。テイタムという新たなフランチャイズプレイヤーを獲得し、唯一の弱点であるセンターポジションの穴埋めが必要になります。

指名したウィリアムズはどの予想サイトでも、10位台中盤あたりとされていました。ここまでスリップしたとされる理由は過去の負傷歴。ウィリアムズ以外にも、怪我によって順位を大きく下げた選手が多数います。しかし才能レベルは高いため、"最高の指名だった"と現段階では言えます。

ドラフト結果:100点




ブルックリン・ネッツ 2017-18成績:28勝54敗 (23位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
29位(18) SF ジャナン・ムサ ボスニア・ヘルツェゴビナ出身 19歳 12.5pts, 3.3reb, FG47.6% (ABA)
40位(39) SF ロディオンス・クルッツ ラトビア出身 20歳 10.7pts, 1.4ast, 1.5stl (LEBオロ)

補強ポイント:ストレッチ4

ネッツとしては何としても光明を見出したいドラフトですが、2人ともインターナショナルプレイヤーのため、ファンの多くは"?"を浮かべると思います。ムサ(6-9)は攻撃重視のドリブルスコアラーで、クルッツ(6-10)はストレッチ4型のコンボフォワード。ガード過多のネッツは大きくサイズアップに成功しました。

ドラフトの少し前に起こったドワイト・ハワードティモフェイ・モズゴフによるトレードのおかげで、給与ダンプに成功。攻撃的なフォワードを2枚追加し、キャップスペースを確保することによって、ロスターに多くの多様性がもたらされます。

ひとまずディアンジェロラッセジャレッド・アレンを中心に据え、獲得した新人2人の成長を促しつつ、2019-2020に大型補強をするというビジョンが考えられます。

ドラフト評価:80点



シャーロット・ホーネッツ 2017-18成績:36勝46敗 (20位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
12位(10) SF マイルズ・ブリッジス ミシガン州 20歳 17.1pts, 7.0reb, 2.7ast
34位(53) PG デボンテ・グラアム カンザス 23歳 17.3pts, 7.2ast, 1.6stl, 3P40.6%
55位(N/A) SF アーノルダス・クルボカ リトアニア出身 20歳 8.3pts, 3.5reb (LegaA)

補強ポイント:ベンチのアップグレード

ハイピック選手が期待に応えてくれないために迷走しているホーネッツ。2017年11位のマリック・モンクは、シーズン後半にいい兆しを見せていて期待が持てます。しかし、ハワードを取り除いても重たい契約は残っており、再建とプレイオフを目指す間で揺れています。

ホーネッツ獲得 クリッパーズ獲得
マイルズ・ブリッジス(12位) シェイ・ギルジャス=アレキザンダー(11位)
2020年2巡目指名権(CLE経由)
2021年2巡目指名権(LAC経由)

再建に入るのか否かはケンバ・ウォーカーの動き次第だと思われますが、この指名は彼を中心としてのチーム造りに見えます。そして中途半端な成績から脱却するにはモンクとブリッジスの成長無くしてあり得ません。この状態が続けば、本格的な再建を見据える必要があります。

ドラフト評価:75点




シカゴ・ブルズ 2017-18成績:27勝55敗 (25位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
7位(8) C ウェンデル・カーターJr. デューク 19歳 13.5pts, 9.1reb, 2.1blk, 3P41.3%
22位(22) SF チャンドラー・ハッチソン ボイシ州立 22歳 20.0pts, 7.7reb, 3.3ast, 1.5stl

補強ポイント:守備的フォワード

再建2年目に入るヤングブルズ。相思相愛とされていた2人を思惑通り指名し、足りなかったピースを埋めることに成功。ラウリ・マルケネンの横でプレイしたいと発言したカーターJrは、欠如していたブロックショットを供給しフロアを広げます。純粋なSFがいないブルズは6フィート7のハッチソンを獲得。ニコラ・ミロティッチトレードがいい財産をもたらしました。

今後の柱がザック・ラヴィーンになるので、周囲を固めていった指名結果でしょう。ただ、彼のプレイにはまだ大きな不安が残っていて、フロントはクリス・ダンを信頼できるPGと見ていません。この2つのピックでトレードアップもできましたが、急がずにラヴィーン、ダン、マルケネンの外堀をゆっくりと埋めていく良い指名だったと思います。

ドラフト結果:80点




クリーブランド・キャバリアーズ 2017-18成績:50勝32敗 (6位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
8位(11) PG コリン・セクストン アラバマ 19歳 19.2pts, 3.8reb, 3.6ast

ポイント:レブロン事変に備える

レブロン・ジェームズが去ったため、自動的に再建に入ります。すでにホークスに渡っている2019年と2020年の1巡目指名権にトップ10保護がかかっているため、この2年間の勝ちは自身の首を絞めます。

そのためセクストンは必然的に最低でも2年間はボールが与えられることになります。フランチャイズを建て直すための指名だったと置き換えれば、残っている選手中で最善だったと思います。

ドラフト評価:85点




ダラス・マーベリックス 2017-18成績:24勝58敗 (27位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
3位(2) PG ルカ・ドンチッチ スロベニア出身 19歳 16.0pts, 4.0reb, 4.9ast, 1.1stl (ユーロリーグ)
33位(32) PG ジェイレン・ブランソン ビラノバ 22歳 18.9pts, 4.6ast, FG52.1%
55位(60) PF レイ・スポルディング ルイビル 21歳 12.3pts, 8.7reb, 1.5stl, 1.7blk
60位(N/A) SF コスタス・アデトクンボ デイトン 20歳 5.2pts, FG57.4%

ポイント:ビッグマンの答え

最大の穴であるセンターにはFAを迎え入れ、デニス・スミスJr.と黄金ペアになれるドンチッチを獲得。"1位クラスの才能"と見られていたドンチッチを、5位指名権から少ない代償で獲得できたトレードは見事。

リック・カーライルHCはドンチッチを"パワーフォワード"としての起用も見据えており、ポジションレスである彼を様々なラインナップで試していくことになりそうです。堅実なベテランが多く在籍していて、高い才能の追加はすばらしい融合を生み出します。

ドラフト評価:95点




デンバー・ナゲッツ 2017-18成績:46勝36敗 (14位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
14位(4) SF マイケル・ポーターJr. ミズーリ 20歳 10.0pts, 6.7reb
41位(45) PF ジャレッド・バンダービルド ケンタッキー 19歳 5.9pts, 7.9reb
58位(N/A) C トーマス・ウェルシュ UCLA 22歳 12.6pts, 10.8reb, 3P40.2%

補強ポイント:SFのアップグレード

2年連続もう1歩のところでプレイオフを逃したナゲッツ。穴であるSFに、同クラス1位のポーターJr.の指名は神の啓示のように見えます。しかし、彼は深刻な背中の怪我に悩まされており、今後いつプレイできるか分かりません。少なくともミズーリでの3試合はロッタリーに値するようなプレイではありませんでした。

彼はハイリスク&ハイリターンですが、14位指名で高すぎる才能を買うにはお釣りがくるほど安いです。41位のバンダービルドはリバウンドをもぎ取れる強い選手です。3Pを多く撃つチームにとって、彼は素晴らしい見通しです。

ドラフト評価:100点




デトロイト・ピストンズ 2017-18成績:39勝43敗 (19位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
38位(17) SG カイリ・トーマス クレイトン 22歳 15.1pts, 4.4reb, 1.7stl, 3P41.4%
42位(29) SG ブルース・ブラウンJr. マイアミ 22歳 11.4pts, 7.1reb, 4ast, 1.3stl

補強ポイント:バックコート強化

2017-18シーズンの出だしは好調で、台風の目になると思われた矢先に失速。ブレイク・グリフィントレードの後プレイオフラインに復帰するかと思われた矢先に失速。ジェットコースターシーズンを送ってきましたが、グリフィン&アンドレ・ドラモンドのツインタワー時代は2018-19から本番開始です。

トーマスとブラウンJr.は個人的な予想では1巡目後半クラでした。2人ともディフェンスを戦場とした選手で、NBA準備の整った高い完成度があります。ガード層の薄いピストンズにとっては、2巡目指名ながらすばらしい補強ができました。

ドラフト評価:80点




ゴールテンステイト・ウォリアーズ 2017-18成績:58勝24敗 (3位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
28位(24) SF ジェイコブ・エバンス シンシナティ 21歳 13pts, 4.7reb, 3.1ast, 1.3stl

補強ポイント:ベンチウィングのアップグレード

レギュラーシーズンはステフィン・カリーアンドレ・イグダーラら主力の故障が相次ぎ、例年に比べて苦しいレギュラーシーズンを送りました。それでもプレイオフに照準を合わせてきていると思わせた戦いぶりはさすがでした。

彼らがいない間にツーウェイ選手のクイン・クックが得点で貢献(カリー離脱後平均14.8pts)。故障者に対応できるSG/SFのバックアップ選手が必須な状況にあります。そういった点でエバンスの指名は安心安全な選択でした。しかし、今回も2巡目選手を獲得してくると思っていたので、動かなかったことは意外でした。

ドラフト評価:80点




ヒューストン・ロケッツ 2017-18成績 65勝17敗 (1位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
46位(27) PG デアンソニー・メルトン 南カリフォルニア 20歳 8.3pts, 1.9stl, 1.0 blk (2016-17)
52位(N/A) SF ビンス・エドワーズ パデュー 22歳 14.6pts, 7.4reb, 2.9ast

補強ポイント:3&Dウィング

ジェームズ・ハーデンの横に入れるディフェンス&シューティング能力を持つ選手は2巡目にそう多く点在していませんが、1巡目評価が多かった超ディフェンシブガードのメルトンを獲得。彼は次のパトリック・ビバリーになることが可能で、2巡目最大の儲けと言える指名をしました。

金銭トレードでジャズからエドワーズを獲得。彼はプラスディフェンダーではありませんが、3を撃つことのできるSFです。クリス・ポール絡みのトレードで1巡目を失いましたが、最終的に30位となったのでロケッツは資産をほとんど失うことなく最高のトレード&指名を展開しています。

ドラフト評価:90点




インディアナ・ペイサーズ 2017-18成績:48勝34敗 (10位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
23位(26) PG アーロン・ホリデー UCLA 22歳 20.3pts, 5.8ast, 3P42.9%
50位(N/A) PF アリーゼ・ジョンソン ミズーリ州 22歳 15.0pts, 11.6reb, 2.8ast

補強ポイント:PG&SF強化

今シーズンオールNBA3rd、オールディフェンシブ1st、MIP&スティールリーダーを獲得した大エース、ビクター・オラディポの隣に立つポイントガードを探しています。最終的にはFAで解決するかもしれませんが、オラディポが既にエリートツーウェイなので攻撃に長けているホリデーとの相性は悪くありません。

とは言っても23位指名のホリデーはバックアップに収まるのが適切でしょう。また、2巡目のジョンソンはリバウンド以外多くの課題を残しているストレッチ4です。ホリデーはアンダーサイズのために評価が割れますが、非常にいいエネルギーを提供してくれる選手になれると思います。

ドラフト評価:80点




ロサンゼルス・クリッパーズ 2017-18成績:42勝40敗 (18位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
11位(12) PG シェイ・ギルジャス=アレキザンダー ケンタッキー 20歳 14.4pt,s 5.1ast, 1.6stl
13位(46) SG ジェローム・ロビンソン ボストンカレッジ 21歳 20.7pts, 3.3ast, 3P40.9%

補強ポイント:新たなPGとビッグマン

守備&パスに優れたアレキザンダー、攻撃に優れたロビンソンの指名はそのままバックコートとして採用可能です。ジェリー・ウェストにひどく気に入られていたロビンソンはコンバインで自身の射撃を大きくアピールし評価が上がり、ロッタリーに入るほどの上昇には驚きました。エリートスコアラーとなってこの順位を正統のものにしてほしいですね。

才能がひしめくWCを現在のロスターで競争するのは厳しいです。さらに、若い才能も欠如しており今後数年間で多く追加する必要があります。

ドラフト評価:85点




ロサンゼルス・レイカーズ 2017-18成績:35勝47敗 (21位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
25位(40) PF モリッツ・ワグナー ミシガン 21歳 14.6pts, 7.1reb, 3P39.4%
39位(51) SF アイザック・ボンガ ドイツ出身 19歳 6.0pts, 2.3ast, 1.0stl (BBL)
47位(56) SG スヴィアストラフ・ミクハイリュク カンザス 21歳 14.6pts, 3P44.4%

補強ポイント:3Pシューター

ロスターではビッグマンに不安がありますが、ドラフトよりも地の利を生かしたFA市場を利用しての補強で補えます。大型補強を敢行するため、ドラフト選手に早期の貢献を求めてはいません。ワグナーとミクハイリュクは2人ともディフェンスに不安を持つシューターで、主にフロアを広げることが役割になります。

ボンガを事前のピックトレードで獲得。ボンガは未来にとても期待できる選手です。昨シーズンは3P成功率が30チーム中29位の34.5%だったので、とりあえずシュートの撃てる選手は指名できました。

ドラフト評価:75点




メンフィス・グリズリーズ 2017-18成績:22勝60敗 (29位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
4位(5) PF ジャレン・ジャクソン Jr. ミシガン州 19歳 10.9pts, 3.0blk, 3P39.6%
32位(44) PG ジェボン・カーター ウェストバージニア 23歳 17.3pts, 6.6ast, 3.0stl

ポイント:リビルド or リワインド

昨シーズンは2試合目にウォリアーズ、6試合目にロケッツを倒したときは強さ健在という感じがしましたが...グリッド&グラインド時代の終焉を迎えても尚、チームはマイク・コンリーマルク・ガソルのコンビを解消させる気が無く、2人+ジャクソンJr.を加えてプレイオフに復帰する考えです。

コンリーとガソルに加え、ディロン・ブルックスにボールを持たせつつ、ジャクソンJr.を攻撃的に発展させていく必要があります。2巡目のカーターはコンリーの強固なバックアップとして機能します。ディフェンスに定評がある2人を指名し再競争を図っていますが、リビルドは早ければ早いほどいいです。

ドラフト評価:85点




マイアミ・ヒート 2017-18成績:44勝38敗 (15位)

指名無し

ポイント:内部成長を促す

2017年14位指名のバム・アデバヨが当たりましたが、再建チームのようなフランチャイズを担う若い選手はいません。中堅選手に多くの給与を払い、このロスターでは40-44勝を超える見通しがありません。

態度とプレイの両面で負の価値にあるハッサン・ホワイトサイドを対処しなければなりませんが、彼を有望な資産と交換することは難しくなっています。はやく見切りをつけ、新たな出発を切らなければ何年もロッタリー後半位置に沈むことが予想できます。

ドラフト評価:無し




ミルウォーキー・バックス 2017-18成績:44勝38敗 (16位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
17位(34) SG ドンテ・ディビンチェンゾ ビラノバ 21歳 13.4pts, 3.5ast, 3P40.1%

ポイント:ガードの充実

エリック・ブレッドソーを獲得したことにより、一時解消したかのように見えたガード問題はまだ明確な答えが出ていません。マルコム・ブログトンは怪我に悩まされ、センターにも大きな穴があります。

ベンチから質の高いスコアラーとして登場できるディビンチェンゾの指名はチームにフィットします。身体能力がとても高く、シューティング能力と理解力も優れています。彼が入ることでブログトンの負担も減り、ガード層の充実につながります。

ドラフト評価:90点




ミネソタ・ティンバーウルブズ 2017-18成績:47勝35敗 (13位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
20位(28) SG ジョッシュ・オコギ ジョージア工科 20歳 18.2pts, 6.3reb, 1.8stl, 1.0blk
48位(23) SF ケイタ・ベイツ=ディオプ オハイオ州 22歳 19.8pts, 8.7reb, 1.6blk

補強ポイント:3Pシューター

ここ数年3P試投数、成功数ともに最下位のウルブズ。ネマニャ・ビエリツァ以外、純粋なシューターはおらず3Pラインで苦戦しました。カール=アンソニー・タウンズが驚異的な数字を残しましたが、やはりシューターは必要のように思えます。

しかし、指名した2人は身体的な優位を持つ素晴らしいディフェンダーであり、純粋なシューティング選手ではありません。ウルブズは3Pを課題に持つと同時に、守備に課題(ディフェンスレート全体27位)があります。タウンズとアンドリュー・ウィギンスが守備に不安を持つので、2人は守備の改善に大きく役立ってくれると思います。

ドラフト評価:90点




ニューオーリンズペリカンズ 2017-18成績:48勝34敗 (11位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
51位(50) PG トニー・カー ペン州立 21歳 19.6pts, 4.9reb, 5.0ast

補強ポイント:SFのアップグレード

ペリカンズには明確なSFが存在しません。昨年はスターターにイートワン・ムーアを起用し続けました。ドリュー・ホリデーがプレイオフで嫌なぐらい素晴らしいディフェンスを見せてくれたので、大きな点に繋がりませんが、もう1枚ディフェンスができる3&Dウィングプレイヤーが必要です。

51選手に多くを期待することは難しいものの、カーはスコアファーストのガードで少しのベンチインパクトが期待できます。1巡目を手放した時点で、ドラフトでの成果は底を打っています。

ドラフト評価:65点




ニューヨーク・ニックス 2017-18成績:29勝53敗 (22位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
9位(15) SF ケビン・ノックス ケンタッキー 19歳 15.6pts, 5.4reb
36位(25) C ミッチェル・ロビンソン N/A 20歳 N/A

ポイント:SFの確保

正統なSFを持つチームは多くありませんが、ニックスはこの順位でそれを得ました。ノックスは潜在的な物が大きく、多くの機会を得ればジェイソン・テイタムのようなレベルに手が届く可能性があります。ニックスは彼に多くのチャンスを与えると思うので、開花するのは時間の問題かもしれません。

ロビンソンは未知な存在ですが、高い運動能力には定評があります。2人とも多くの開発を要しますが、穴だったポジションに若い才能を追加したいい指名だったと思います。

ドラフト評価:85点




オクラホマシティ・サンダー 2017-18成績:48勝34敗 (8位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
45位(42) SG ハミドゥ・ディアロ ケンタッキー 20歳 10.0pts, 3.6reb
53位(57) SG デボン・ホール バージニア 23歳 11.7pts, 3.1ast, 3P43.2%
57位(48) PF ケビン・ハーベイ UTアーリントン 22歳 20.5pts, 8.5reb, 1.2stl

補強ポイント:バックアップSGとPFのアップグレード

アンドレ・ロバーソンは素晴らしいディフェンダーですが、フロアを広げられる3&D選手が必要です。2巡目でその選手を探すことは困難ですが、ディアロはNBAポテンシャルの身体能力を持っています。上手くいけばミニジェラミ・グラントになれる存在です。

ホールとハーベイは完成している選手であり、限られた時間でインパクトを残すことが期待されます。サンダーはプロジェクトを必要としていないので、無難な指名だったと思います。

ドラフト評価:70点




オーランド・マジック 2017-18成績:25勝57敗 (26位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
6位(7) C ハメド・バンバ テキサス 20歳 12.9pts, 10.5reb, 3.7blk
35位(33) SF メルビンフレイジャー テューレン 22歳 15.9pts, 5.6reb, 2.2stl
43位(55) PF ジャスティン・ジャクソン メリーランド 21歳 9.8pts, 8.1reb

ポイント:ポイントガードの答え

新たなポイントガードが必要になるマジックは、ドラフトでその答えを出しませんでした。指名したバンバは超防衛的センターで、ニコラ・ブーチェビッチの貧弱な守備と別れを告げることが可能になります。2巡目の2人も守備的な選手であり、ウィングスパンに重きを置いた一貫した指名結果となりました。

ポイントガードは課題として残り続けますが、このドラフトでフロントコートは強化しきった感があります。

ドラフト評価:85点




フィラデルフィアシクサーズ 2017-18成績:52勝30敗 (5位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
16位(14) SG ザイアー・スミス テキサス工科 19歳 11.3pts, 5.0reb, 1.1stl, 1.1blk
26位(41) PG ランドリー・シャメット ウィチタ州立 21歳 14.9pts, 5.2ast, 3P44.2%
54位(31) PG シェイク・ミルトン 南メゾジスト 22歳 18.0pts, 4.4ast, 1.4stl

補強ポイント:バックアップウィング

リーグ最強のヤングペアリングを補完する存在が必要です。ブリッジスとは相思相愛のように見えましたが、非情なトレードがその後起こりました。

シクサーズ獲得 サンズ獲得
ザイアー・スミス(16位) ミカル・ブリッジス(10位)
2021年1巡目指名権(MIA経由)

2021年の指名権はプロテクト無しに加え、ワン&ダン廃止により新たな柔軟性を生み出します。しかし、シクサーズは同ポジションにマーケル・フルツを持っており、スミスの獲得には多くの「?」が浮かびます。

また、26位指名のシャメットは2次ハンドラーとしてはもちろん、今ドラフト最高のシューターのためチームと上手くフィットします。54位のミルトンは負傷があり評価をやや落としましたが、とても質の高い選手であり、この位置の指名は儲けです。

ドラフト評価:85点




フェニックス・サンズ 2017-18成績:21勝61敗 (30位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
1位(1) C アンドレ・エイトン アリゾナ 20歳 20.1pts, 11.6reb, 1.9blk
10位(9) SF ミカル・ブリッジス ビラノバ 22歳 17.7pts, 1.5stl, 1.1blk, 3P43.5%
31位(30) PG エリ・オコボ インターナショナル 20歳 13.8pts, 4.7ast, 3P41.8%
58位(N/A) SG ジョージ・キング コロラド 24歳 12.9pts, 7.8reb

補強ポイント:デビン・ブッカーの相棒を見つける

フランチャイズ初めてのドラフト1位指名権を得たサンズは、長年の課題だったセンターにエイトンで答えを求めます。エイトン&デビン・ブッカーの黄金タンデムは一見素晴らしいように思えます。やや守備に不安があるエイトンは1試合目からディフェンス能力を示す必要があります。

3&Dプロトタイプのブリッジスと同じくディフェンシブなジョッシュ・ジャクソンにペアを組ませ、守備が絶望的なブッカーをカバーする図式は理想的です。オコボはポイントガードの答えにはならなくても、バックアップとして十分に収まります。

才能豊かな4人のコアを抱え、今シーズンから勝利モードに入りたいサンズ。その可能性は未知ですが重要なのは開幕戦かもしれません。

ドラフト評価:95点




ポートランド・トレイルブレイザーズ 2017-18成績:49勝33敗 (7位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
24位(20) SG アンファーニー・サイモンズ IMGアカデミー 19歳 22.4pts, 6.7reb, 3.1ast, 3P45.0% (IMG)
37位(35) SG ゲイリー・トレントJr. デューク 19歳 14.5pts, 4.2reb, 3P40.2%

補強ポイント:ウィングのアップグレード

守備に秀でたフロントコート陣はいますが、攻撃的なロールプレイヤーの数が足りません。24位指名のサイモンズはスコアファーストのコンボガードですが、非常に若くカレッジの経験も無く早期のインパクトには期待できません。プレイオフを勝ち上がるために有用なロールプレイヤーを探しているチームにとってこの指名は不可解に映ります。

しかし、サイモンズはカレッジに進んだ場合、2019年ドラフトでトップ10と言われる才能です。この指名は先物買いであり、チームは彼を将来的な主力選手として見ているはずです。昨年10位でザック・コリンズを獲得した際にも、チームの主力とタイムラインが噛み合わない的外れな指名だと揶揄されました。しかし、彼は今後の最も重要なピースとなる活躍をし、結果として彼の獲得は大正解でした。

サイモンズも同様に、その才能が本物ならばこの指名は確実に盗みとなるはずです。長年、ドラフトで主力を獲得してきたチームなので、ただのロールプレイヤーに行かなかったところに好感が持てます。2巡目のトレントJr.は素晴らしい3Pシューターで、ローテーション定着を期待できる即戦力候補です。また、親子で同じチーム所属の選手となりました。

ドラフト評価:75点




サクラメント・キングス 2017-18成績:27勝55敗 (24位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
2位(3) PF マービン・バグリーIII デューク 19歳 21.0pts, 11.1reb, FG61.4%

ポイント:ビッグマンの答え

インサイドの破壊力を持つバグリーを加えたことで、長年決めきれないでいたビッグマンを定めたいところです。チームはSFでの起用も示唆し、実現可能であればフロントコートが混雑しているキングスにとっては願ったりかなったりでしょう。

懐疑的な守備とシューティング能力を改善させる余地は大きく残っています。チームはまだ勝利モードに移行したとも思えないので、バグリーやハリー・ジャイルズに多くのプレイ時間を与えて成長を促していくことになりそうです。

ドラフト評価:85点




サンアントニオ・スパーズ 2017-18成績:47勝35敗 (12位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
18位(16) SG ロニー・ウォーカーIV マイアミ 19歳 11.5pts, 2.6reb
49位(50) PF チメジエ・メトゥ 南カリフォルニア 21歳 15.7pts, 7.4reb, 1.7blk

ポイント:ヤングガードの成長

ロッタリーの評価もあったウォーカーは、チームの弱点であるガードポジションに上手く収まることができる選手です。ウォーカーはまだNBAレンジに適応したシューターとは言えず、同じくジャンプシュートを苦手としているマレーとの相性はあまり良くありません。

高い身体能力はドノバン・ミッチェルと比較可能なレベルです。カワイ・レナードがどう動かされるかは分かりませんが、状況によって多くのチャンスがウォーカーに舞い込んでくる可能性があります。2巡目指名のメトゥは荒削りですが、潜在的なストレッチ4として期待できます。

ドラフト評価:85点




トロント・ラプターズ 2017-18成績:59勝23敗 (2位)

指名無し

ポイント:限界点と今後

フランチャイズ史上最高の59勝を達成し、デマーレイ・キャロルのアンロードのために29位に終わったドラフトピックは最高の犠牲でした。今ドラフトでの動きはありませんでしたが、指名漏れのロール・アルキンズ(アリゾナ)をいち早くトレーニングキャンプに招くなど、ノーリスクで良い選手を確保しています。

ドラフト評価:無し




ユタ・ジャズ 2017-18成績:48勝34敗 (9位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
21位(47) SG グレイソン・アレン デューク 23歳 15.5pts, 4.6ast, 1.7stl

ポイント:ドノバン・ミッチェル周囲の建設

すでにフランチャイズプレイヤーの礎石を獲得したジャズは、彼の周りに効果的な選手を配置していくことになります。アレンは豊富な経験とフロアを広げる能力を持ち、ドライブスペースを開けます。同チームに3Pスペシャリストのジョー・イングルズがいるため、彼と対になるシューターとなればさらにジャズは脅威となります。

ドラフト評価:80点




ワシントン・ウィザーズ 2017-18成績:43勝39敗 (17位)

順位 ポジション/選手/所属/年齢 主な成績
15位(19) SF トロイ・ブラウン オレゴン 19歳 11.3pts, 3.2ast, 1.6stl
44位(59) PG ユスフ・サノン ウクライナ出身 18歳 3.0pts, 1.2ast (ABA)

補強ポイント:アスレチックビッグマン

ジョン・ウォールが若い運動型のビッグマンをチームに求めたため、ブラウンの指名は予想がつきませんでした。2019年オフにケリー・ウーブレイJr.のRFAが控えており、その穴を埋める準備を進めているように思えます。

ブラウンはPG⇔SFまでのスキルを持っており、バックアップPGに困窮しているウィザーズにとってそのスキルは魅力的です。ただ、チームは本当にビッグマンを必要としているので、意にそぐわなかった指名結果かもしれません。

ドラフト評価:70点





その他に起こったトレードは以下。

本指名 選手/指名順位 トレード内容 移動先
ATL デボンテ・グラアム 34位 2019年2巡目指名権(CHA) CHA
2023年2巡目指名権(CHA)
SAC ゲイリー・トレントJr. 37位 2019年2巡目指名権*2 POR
2021年2巡目指名権(MIA)
150万ドル
PHI カイリ・トーマス 38位 2021年2巡目指名権(DET) DET
2023年2巡目指名権(DET)
PHI アイザック・ボンガ 39位 2019年2巡目指名権(CHI) LAL
150万ドル
ORL ジャレッド・バンダービルド 41位 ジャスティン・ジャクソン43位 DEN
2019年2巡目指名権*3
UTA ビンス・エドワーズ 52位 150万ドル HOU
DAL シェイク・ミルトン 54位 レイ・スポルディング 56位 PHI
コスタス・アデトクンボ 60位

今年も漏れなくフレッシュマン揃いだったドラフトですが、このワン&ダン制度は2020年に廃止される可能性があります。他にも、オーストラリアのプロリーグを経由したテレンス・ファーガソン(OKC)のようなケースもあり、リクルートランク上位のダリウス・ベイズリーはGリーグ経由でドラフトを目指すことを表明しています。

将来的にはハイスクール・カレッジ・海外・Gリーグのような、様々な選択肢からNBA入りするのが当たり前の時代になっているかもしれません。

*1:トップ5プロテクト

*2:レイカーズかティンバーウルブズでより高い方

*3:ナゲッツかウィザーズでより低い方、ウィザーズはトップ56-60プロテクト