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#65【NBAドラフト2019】ブレイザーズの注目選手

6月20日に行われる今年のNBAドラフトは、かなりの不作年と言われています。従来のフレッシュマン路線ではなく、ソフォモア以上の選手たちで多くのハイピックを占める、近年ではまれなドラフトになることが予想されています。

ついに高校出指名の解禁も発表され、今後のドラフト指名権はより価値のあるものに変わってきます。ドンチッチの世紀的な成功により、ヨーロッパリーグ出身の選手たちの評価もどんどん変化していくでしょう。より多くの才能ある選手たちが公平な機会を与えられて、世界最高の舞台で活躍できるシステムが作られていくといいですね。

ブレイザーズの近年のドラフトは、実績や熟練度よりも若さと潜在性を重視した指名が目立ちます。また、今シーズンのトレードトークブレイザーズが1巡目権を利用可能にしたという報道を踏まえれば、19'20年で契約切れになるターナーハークレスマイヤーズらを動かすために1巡目を餌として使う可能性が十分にあります。

2016 ORL 47位 22歳 ジェイク・レイマン ⇔2巡目(2019/POR)+120万ドル
2017 SAC 10位 19歳 ザック・コリンズ ⇔15位+20位
POR 26位 20歳 ケイレブ・スワニガン 2019年SAC移籍
2018 POR 24位 19歳 アンファーニー・サイモンズ 2005年以来初の高卒*1指名
SAC 37位 19歳 ゲイリー・トレント Jr. ⇔2巡目(2019&2021)+150万ドル

アミヌがFAとなり、フッドもMLEを利用すれば再契約が可能ですが、"7月1日の私に聞いてくれ"という言葉通り、レギュラーシーズン中にはほとんど予測しても無駄でしょう。今オフにロスターに残るのは10名。誰かが移動したとしても、ブレイザーズの焦点はフォワードです。

PG SG SF PF C
リラード マッカラム ハークレス ヌルキッチ
ターナー トレントJr. マイヤーズ コリンズ
サイモンズ ラビシーレ

RFAになるレイマンとの再契約が一番見たい契約です。ついに開放されるキャップ状況を見れば、今年こそ1巡目をすんなり指名して終わり...とは行かないと思いますが、ブレイザーズが獲得できればいいなと思った選手を挙げています。




ケビン・ポーター Jr.|USC|SF/SG|6'6''

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2000年5月4日生 ウィングスパン6'9'' (Freshman/18歳)
Season G MP FG% 3P 3PA 3P% FT% TRB AST STL BLK TOV PF PTS
FR 21 22.1 .471 1.3 3.2 .412 .522 4.0 1.4 0.8 0.5 1.9 2.1 9.5

比較選手:ジャスティス・ウィンズロウ、ジェームズ・ハーデン

  • 人物

年齢と才能だけを鑑みれば、間違いなくハイロッタリー選手(10位以内)です。しかし、度重なる怪我と問題児であるために、評価が大きく上下しています。緩慢な態度とチーム意識の欠如は、若さゆえなのか、才能がありすぎるからなのか。年齢とともに成熟に向かうのか、それとも悪の道を往ってしまうのか...彼は行くチームによって運命を分けるかもしれません。

bleacherreport.com

  • 長所

レフティのダイナミックオールラウンドプレイヤー。圧倒的で爆発的な身体能力を持つスラムダンカーで、バスケットボールに対する魅力的なエリート感覚があります。派手なハンドルから繰り出されるドライブが優れていて、アイソスコアラーとしてバケッツゲッターになる才能があります。基本的にプラスディフェンダーで、1-3を守るための多様性があります。強い上昇志向と(いい意味で)強い性格を持っており、自身のプレイに自信を持っている様が伝わってきます。

  • 短所

オールラウンドに光る部分が多くありますが、全体的にそのプレイはとても利己的に映ります。ドリブルモードに入ると周りが見えなくなる傾向があり、1人でプレイしているような感じがします。"アシスト"と呼べるようなパスも少なく、味方を生かしたプレイをする意識がありません。悪いフリースローシューターで、ギャンブル性の強いディフェンダーです。荒っぽいプレイが多く、感情の振り幅がとても大きいため、精神面で大きな成長が望まれます。また、非常に怪我をしやすい選手でもあります。

  • 結論

珍しくフレッシュマンに乏しい今ドラフトですが、彼はその中でジョーカー的存在と言えます。最強のカードでありながら、最悪を招いてしまう力を秘めているソレ。しかし彼が20位台にスリップしてきた場合、どのチームが指名しても必然的に儲けと言われる存在になります。彼は"グレイトプレイヤー"であっても、決して"グレイトガイ"ではありません。一流の素材をブレイザーズが育てたいと思った場合、リラードの存在が素晴らしい道しるべになるでしょう。

  • 予想順位:1巡目中盤から後半



ダリウス・ベイズリー|PF/SF|6'9''

www.nytimes.com
2000年7月12日生 ウィングスパン7'0'' (Freshman/18歳)
Season G MP FG% 3P 3PA 3P% FT% TRB AST STL BLK TOV PF PTS
EYBL 13 16.5 .455 0.7 2.5 .281 .768 10.9 1.4 0.4 1.6 1.8 1.8 15.2

比較選手:モーリス・ハークレス、デリック・ジョーンズJr.

  • 人物

シラキュースへのコミットを下げ、Gリーグ参入を発表した初のリクルートトップ選手。しかし、その後Gリーグからの撤退を表明し、ニューバランスと契約。アメリカの選手としては非常に珍しいルートでNBA入りします。2018年、サイモンズという未知の選手を24位で指名したブレイザーズは、カレッジをスキップする選手を指名することに躊躇はありません。

彼はリクルートランク13位という全国的な才能を持ち、アーリーモックドラフトではロッタリー候補に挙がっていた選手です。負傷歴のある選手がスリップすることは普通ですが、"カレッジをスキップしたから"という理由でスリップする選手は、潜在的な儲けとなる可能性を秘めています。

ミッチェル・ロビンソンはコーチ問題により取り下げ、アンファーニー・サイモンズルイビル側のスキャンダルによって取り下げたという仕方のない経緯がありましたが、彼は自身の意志でコミットを取り下げ、新たな道を模索しようとした経緯は、チームに新たなストーリーを与えます。

トランジションパス

↑カッティング

↑ドライブ

↑リバウンド

↑ブロック

  • 結論

ジョーダンブランドクラシックはあくまで展示的な試合ですが、この試合での彼のプレイは目を惹きました。線は細いもののサイズは一級品で、試合に対する感覚も上々。ブレイザーズはすでに若い選手を多く抱えていますが、経験を積んだジュニアやシニアでも1年目からチームに影響を与えられるとは限らないので、もう1人の若い才能を追加しても問題はないでしょう。また、ブレイザーズは開発が得意なチームでもあります。ドラフトは即戦力を得る場ではなく、才能を得る場所だと考えて、先の先を見越したドラフトをするならば絶好の選手です。

  • 予想順位:1巡目後半



PJ・ワシントン|ケンタッキー|PF|6'8''

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1998年8月23日生 ウィングスパン7'3'' (Sophomore/20歳)
Season G MP FG% 3P 3PA 3P% FT% TRB AST STL BLK TOV PF PTS
FR 37 27.4 .519 0.1 0.6 .238 .606 5.7 1.5 0.8 0.8 1.9 2.7 10.8
SO 31 29.2 .521 1.0 2.3 .423 .673 7.5 1.9 0.8 1.1 1.9 2.5 14.9

比較選手:ジャマイカル・グリーン、タージ・ギブソン

  • 人物

ケンタッキー大にリクルートトップ選手として加入すれば、ワン&ダンでNBA入りすることは既定路線です。しかし、彼はハリソン双子兄弟(13'15)以来となるフレッシュマンで2桁得点以上しながらも、ソフォモアとして残留した選手となりました。もちろんワン&ダンをするつもりで2018年ドラフトを宣言していましたが、1巡目指名の確約が取れなかったために残留を決めています。そのため、何がなんでも1巡目選手としての地位を確立させることを意気込んでいるシーズンになっています。

最近でもマイルズ・ブリッジズロバート・ウィリアムズアイバン・ラブらリターン組は決してフレッシュマンの時より評価を上げることはありませんでしたが、ワシントンのリターンは大正解でした。1月後半からのホットゲームを一貫して行い、すでに1巡目を確実なものにしています。この調子で行けば、昨年のケンタッキー大でSGAが行ったような上昇(ミッドシーズンは1巡目後半→最終的にロッタリー)を見ることができます。

G MP FG% 3P% TRB AST STL BLK PTS
1→15 27.2 .504 .346 8.1 2.1 0.8 1.1 11.9
16→31 31.1 .531 .467 6.9 1.6 0.9 1.1 17.7

  • 長所

強みはポストプレイ。高さはありませんが、ウィングスパンを生かしたフックとフットワークで得点を量産します。昨年までは主にミドルシューターでしたが、今シーズンのスリーポイントラインの上昇は最も目を惹く要素です。視野も広く、パス能力もあります。今年は"スーパースター不在のケンタッキー"と言われたりしますが、彼はチームをまとめるグルーガイとして、良いリーダーシップとクラッチ能力を見せています。そのため今年のケンタッキーは個々の集団ではなく、チームとしてまとまっている印象を与えています。

  • 短所

弱点はディフェンス全般。オンボールでは非常に積極的なディフェンダーですが、オフボールでは時々オフになり、簡単にワイドオープンを作り出してしまいます。リバウンドを競った時のポジショニングに対する理解度とボックスアウトが弱いです。オフェンスでもボールを持っていないときは静かで、攻守ともにオフボールでいかに貢献するかが重要な問題になってくるでしょう。良くも悪くも"キレイなプレイ"をする選手、という印象です。

  • 結論

現状20位前後が彼の評価ですが、このまま上昇し続ければブレイザーズの指名順位(20台前半)にまで落ちてこないと思いますが、評価を上げることは彼にとって良いことでしょう。アメリカの世代別代表でも一緒にプレイしているトレントJr.と、NBAの舞台でもチームメイトとして組ませてみたいという気持ちもあります。数々の国際試合に出場しており、経験は豊富です。

  • 予想順位:1巡目中盤



グラント・ウィリアムズ|テネシー|PF|6'7''

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1998年11月30日生 ウィングスパン6'11'' (Junior/20歳)
Season G MP FG% 3P 3PA 3P% FT% TRB AST STL BLK TOV PF PTS
FR 32 25.4 .504 0.4 1.0 .375 .667 5.9 1.1 0.8 1.9 1.9 3.3 12.6
SO 35 28.8 .473 0.1 0.7 .120 .764 6.0 1.9 0.6 1.3 2.1 3.3 15.2
JR 31 31.9 .569 0.4 1.3 .333 .833 7.7 3.3 1.2 1.5 2.2 2.8 19.3

比較選手:ドレイモンド・グリーン、PJ・タッカー

  • 人物

ハードワークとインテリアプレイを凝縮した、超ベテランの風格漂う熟練したプレイが持ち味。公式では6-7(201cm)となっているものの、他の6-7選手と比べると、彼はそれよりも少し低いように見えます。テネシーの大黒柱として、ゴンザガを破るなどのセンセーショナルなシーズンを過ごしています。史上10人目となる2年連続のSECPOYにも輝いた、カレッジバスケを極めし男です。

  • 長所

オールラウンドに献身的なゴートゥーガイ。安定したスコアラー&ポイントフォワードもこなせるパサーとして、常にコートで頼れる存在です。タフなダブルチームを敷かれてもオープンの選手を見つけ出し、信じられないほど確実にボールを出します。アンダーサイズであり身体能力がずば抜けているタイプでもありませんが、スピンやフェイクを多用し、大きな選手を簡単にかわす高いテクニックがあります。垂直の爆発性とブロックのタイミングが優れていて、ポジショニングの理解度が高いです。ルーズボールにおいてのハッスルさも目を見張る点です。

ブロック不可能なシューティングフォームを持っており、ミドルショットが非常に安定しています。スリーポイントの試投も増加しており、NBA入り後のロングシュート開発は容易です。フリースローレートがキャリア59.2%という驚異的なフリースロー奪取者です。ウィングスパンは非公式ながら6-11とされており、高さは無いもののポストディフェンダーとして良い強さと長さを持っています。ヴァンダービルト戦で43pts、8reb、4blkというモンスターゲームをした際に、フリースロー23/23本決めています。

  • 短所

フェイクを使わない安直なショットは簡単にブロックされる傾向があります。彼はグリーンタッカーのようなオフェンスの多様性を確かに持っていますが、彼らと大きく違う点はディフェンスの多様性です。NBAで3を守ることはできず、4/5を守るにはあまりにも小さく、彼らと比べるとウィリアムズのディフェンスはソフトです。ペリメーターディフェンスも大きな弱点で、切り替えに不安があります。カレッジレベルではポジショニングでどうにかなっていますが、ファウル無しでより大きい選手とマッチアップしていけるか、疑問符がついています。

  • 結論

彼は完成された最強のNCAAプレイヤーですが、サイズ不足というためだけに20位台の評価にとどまっています。3月の活躍次第によってもっと上に行く可能性も秘めており、非常に楽しみな存在です。例えサイズが無くても何とかなってしまうのではないかと思えるほどの確かなBBIQを、NBAでどこまで変換できるのか。見ものです。ブレイザーズと合わせた場合、彼はセカンドユニットの一部としてローテーションに参入できるでしょう。彼はバスケットの勝ち方を知っており、勝つために最善のプレイができる一流のロールプレイヤーになれる逸材です。

  • 予想順位:1巡目中盤から後半



マティス・ザイブル|ワシントン|SG/SF|6'5''

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1997年3月4日生 ウィングスパン7'0'' (Senior/22歳)
Season G MP FG% 3P 3PA 3P% FT% TRB AST STL BLK TOV PF PTS
FR 34 24.1 .397 1.0 2.7 .366 .714 3.2 1.6 1.1 0.9 1.4 3.3 6.2
SO 31 29.9 .448 1.7 4.2 .405 .841 3.1 1.8 2.1 0.7 2.0 2.9 10.5
JR 34 32.3 .445 1.7 4.7 .365 .714 2.9 2.6 3.0 1.4 2.2 2.4 11.2
SR 32 31.0 .426 1.3 4.2 .316 .846 3.2 2.2 3.6 2.2 1.8 2.8 9.3

比較選手:ケント・ベイズモア、アンドレ・ロバーソン

  • 人物

名前の由来は画家のアンリ・マティスから来ているそうです。珍しい名前だなと思っていましたが、向こうで言う"キラキラネーム"のようなものでしょうか。とても印象的な名前です。また、ワシントン大の同学年にディジョンテイ・マレーマーキース・クリス、1学年下にマーケル・フルツという豪華な面々とプレイしてきています。

  • 長所

昨年のカレッジNo.1ペリメーターディフェンダージェボン・カーターならば、今シーズンは彼です。むしろ、歴代最強のカレッジディフェンダーと言っても過言ではありません。ワシントン大は基本的に2-3のゾーンディフェンスを敷いていますが、それでもこのスティール/ブロック数は天文学的数字です。歴史的な数に裏打ちされた、圧倒的なディフェンス本能。それが彼をビッグボードで押し上げる、最大にして最高の理由です。

明らかに死角から飛び出す能力が普通ではありません。スティールに対する感覚とハッスルさは群を抜いており、彼は類を見ないゾーンディフェンスマシーンです。オン/オフでもウィークサイドでも、常にディフェンスに貢献する意識の塊です。スクリーンを扱う技術も高く、ロックダウンディフェンダーとしても期待できます。まともなハンドルを持っており非利己的で、少ない役割ながらもオフェンスを潤滑させることができます。

  • 短所

ディフェンスの良い選手は得てしてオフェンスが不得意なものですが、彼も例外ではありません。Dは強烈ですが3&Dの"3"に絶対的に欠けたシューターで、NBAではそこが永遠につきまとってくるでしょう。まともなスリーポイントシューターになれば、ダニー・グリーンウェズリー・マシューズのような長いキャリアを持つ3&D選手になることができます。

  • 結論

コロラド大戦での17pts、6stl、5blkがあまりにもセンセーショナルでした。そのディフェンス能力がNBAでどれだけ通用するのか、純粋に知りたいです。本当は2か3ではなく、3か4を狙いたいところですが、彼の能力は今ドラフトのブレイザーズにおける"本命候補"だと思います。これほどのディフェンダーはそうそうおらず、良いチームメイトである人物像も評価に値します。本当に"即インパクト"を期待するならば、2巡目を買ってでも狙ってほしい選手です。

  • 予想順位:1巡目後半から2巡目




セカンドユニットを厚くしてくれるフォワードを獲得できることが本望ですが、レイマンフッドとは漠然とですが、再契約できるのではないかと思っています。最近の試合で4Qの終盤にアミヌに変わって彼らが入ることが多いので、それがフラグなのでは...と勘繰ったりしております。

アミヌがいないと特定のマッチアップで苦労することは目に見えていますが、チームがどのようにして生まれ変わっていくことが一番いいのか。それをしっかりと見極めていくドラフトにしたいですね。

*1:海外経由や浪人を除く