2018オフシーズン
17'18レギュラーシーズンの成功は"ただの幸運"?
強豪だらけのウェスタンカンファレンスに所属しながらも、ライバルチームの主力に怪我が相次いだこともあり、49勝33敗の3位という幸運で予想外な17'18レギュラーシーズンを送ったポートランド・トレイルブレイザーズ。
しかし、第3シードで挑んだプレイオフファーストラウンドで唯一のスイープ負け。加えて、2016年のプレイオフから数えて10連敗となり、"リラード&マッカラムのチームではプレイオフで勝てない"と多くの人に見られ、2018オフにはリラード&マッカラムのトレードに関する噂が多く話題に上りました。
それでも、トレードなどの活発な動きをまったく見せなかったブレイザーズフロント。選手の入れ替えは最低限なもので、その動きは"前進"ではなく、"真横"に動いただけの小さなものでした。
退団 | ||
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BLK | エド・デイビス | 1年440万ドル |
BLK | シャバズ・ネイピアー | 2年380万ドル |
MIL | パット・カナトン | 2年340万ドル |
入団 | ||
---|---|---|
DAL | セス・カリー | 1年280万ドル |
BLK | ニック・スタウスカス | 1年160万ドル |
エドの移籍
デイビス、ネイピアーはアレン・クラブに続くネッツへの移籍。デイビスは破格の年俸で移籍したこともあり、多くのファンから怒りの声を買い、リラードからも残念な声明が出されました。ニール・オルシェイGMは"スペースの重要性"を重視したためデイビスとの再契約を見送り、彼にネッツとの契約を薦めました。
— Damian Lillard (@Dame_Lillard) 2018年7月1日
個人的にはエドと再契約する可能性は低いと思っていましたが、やはりファンや選手たちの反応を見ると、いかにチームに必要な存在だったかが分かります。エドがいなくなったということはシーズンが開幕してから実感していくと思います.....。ただでさえ薄いフロントコート陣がさらに薄くなったため、2年目のザック・コリンズにかかる期待値は計り知れません。
ネイピアーとカナトンは中々移籍先が発表になりませんでしたが、無事に契約先ができて良かったです。それぞれの移籍先での活躍を祈っています。
ピュアシューターの加入
プレイオフスイープ負けの主な原因はブレイザーズによるリラードへの依存とペリカンズによる完璧なリラード潰しです。リラードを起点とした攻撃パターンはことごとく潰され、ワンパターンのアイソばかりになり、簡単に敗北しました。その解決策になるのか...最小限の動きで追加したのはシューターガードでした。
G | MP | 3P | 3PA | 3P% | AST | STL | PTS | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
セス・カリー*1 | 70 | 29.0 | 2.0 | 4.6 | .425 | 2.7 | 1.1 | 12.8 |
ニック・スタウスカス*2 | 41 | 12.8 | 1.0 | 2.4 | .400 | 1.0 | 0.2 | 4.4 |
ネイピアー→セス、カナトン→スタウスカスに置き換えました。2人とも3Pに特化した選手なので、とにかくチームが今シーズンスペースを広く使った3ポイントに力を入れようとしていることが明確に伺えました。
セスは怪我からの完全復活、スタウスカスはNBAの生き残りを懸けたシーズンなので、この気概が爆発すれば、昨シーズン3P試投数28.1(19位)、3P成功数10.3(16位)だった3P各種成績の大幅アップが期待できそうです。
2018サマーリーグ
意外といいルーキーたち
Player | MP | FG% | 3P% | REB | AST | STL | BPG | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レイマン | 23.1 | .571 | .542 | 4.4 | 0.3 | 1.4 | 0.9 | 13.4 |
ボールドウィン4世 | 25.4 | .451 | .500 | 4.0 | 7.4 | 1.1 | 0.4 | 13.4 |
コリンズ | 23.6 | .408 | .500 | 6.8 | 1.2 | 0.3 | 2.7 | 8.0 |
スワニガン | 26.3 | 392 | .444 | 10.7 | 3.3 | 0.4 | 0.3 | 8.4 |
サイモンズ | 20.0 | .434 | .346 | 3.2 | 0.5 | 1.0 | 0.0 | 11.0 |
トレントJr. | 23.1 | .354 | .300 | 3.3 | 1.4 | 1.3 | 0.4 | 11.4 |
サマーリーグはあくまで見世物ですが、過去リラード(26.5ppg)、ウィル・バートン(現:ナゲッツ)(14.6ppg)&マッカラム(20.6ppg)大爆発しているのでブレイザーズにとっては縁起のいいものです。昨年はレイカーズに敗れて準優勝、今年はリベンジに成功し優勝!ちゃっちいトロフィーですが、こういうときぐらいしか喜べないので喜びましょう!
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年7月18日
ドラフト組のサイモンズ(24位)&トレントJr.(37位)はまだジャンプショットしか選択肢がありませんが、積極的なプレイが好印象でした。"ドラフトの選択は最悪"と言われていましたが、サイモンズはスピードがすばらしく、トレントJr.はシューターとしての素質十分。即戦力に成るかは難しいところですが、言われていたよりも全然いい、むしろ早い段階で戦力になれるだろうと思わせてくれるプレイを多く見せてくれました。
ベンチウォーマーからの卒業
CJ・マッカラム、ウィル・バートン(トレードを経て)、アレン・クラブ(現:ネッツ)、パット・カナトン(現:バックス)らはブレイザーズに入団し、3年目のシーズンでNBAプレイヤー(ローテーションプレイヤー)となりました。マッカラムは早期の怪我とウェズリー・マシューズ(現:マブス)という巨大な存在に阻まれ、バートン、クラブ、カナトンは2巡目指名だったため、プレイする機会が限られていました。
1,2年目、試合に全く顔を出さなくなると、大抵の人は存在を忘れかけます。しかし、ブレイザーズの場合、1,2年目パッとしなかった(ドラフト入団)選手は3年目が本番です。2016年ドラフト47位指名のジェイク・レイマンは今シーズンで3年目です。
今まで"ただ座っている人"だったレイマンが、ようやく自信を持ってプレイできる時が来ました。モーリス・ハークレス、エバン・ターナーらウィング陣が怪我の不安を抱えている中、彼の存在はひと際光ります。
2018プレシーズン
Preseason | ||
---|---|---|
Game1 (9.30) | 104 - 122 | at Raptors |
Game2 (10.6) | 115 - 93 | at Suns |
Game3 (10.8) | 112 -123 | vs Jazz |
Game4 (10.11) | 116 - 83 | vs Suns |
Game5 (10.13) | 118 - 115 | vs Kings |
トレードの噂やSNSでの騒ぎばかりが目立った夏が過ぎ、バンクーバーから始まったプレシーズンでは"今シーズンやりたいこと"を明確に見せてくれました。
継続と進化
このプレシーズンは攻撃面での収穫が目立ちました。特にリーグ最強ディフェンスチームのジャズに対し、とても素晴らしいオフェンスを見せたことは、シーズンへの希望でした。
FG% | 3P | 3PA | 3P% | REB | AST | FBPS*3 | STL | BLK | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 Pre | .453 | 11.7 | 27.7 | .422 | 47.7 | 20.5 | 5.3 | 8.0 | 4.5 |
17'18Season | .452(20) | 10.3(16) | 28.1(19) | .366(11) | 45.5(3) | 19.5(30) | 8.1(30) | 7.0(26) | 5.2(3) |
2018 Pre | .464 | 12.6 | 30.6 | .412 | 45.2 | 25.4 | 10.4 | 6.2 | 4.4 |
ボールムーブが強く意識され、リラード&ヌルキッチのPNR以外のアシストが増えました。期待薄だったスタウスカスやマイヤーズ・レナードが外からの得点で貢献。特に、スタウスカスは面白い存在になりそうです。
SHEESH, @NStauskas11 pic.twitter.com/SERi00Zyxl
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年10月6日
Too. Much. SAUCE. pic.twitter.com/4Fj9gLUTwA
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年10月8日
もう一つ改善されつつあるのがファストブレイクポイント。NBA内で1試合中最も長い距離を走る選手であるCJはプレゲームでも走ります。
💪C 💪J 💪 pic.twitter.com/ME9pDegzN2
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年10月8日
CJ McCollum is getting buckets!
— NBA (@NBA) 2018年10月8日
13 PTS in the 1st half for the @trailblazers SG on @NBATV #NBAPreseason pic.twitter.com/7lUsoDkM9K
また、スローインからのペースを意識的に速め、ハーフコートからのロングパスも多く見られました。成功しなくても"こういう攻め方もある"と思わせることが重要です。
🚨THIS WHOLE PLAY 🚨 pic.twitter.com/YMpDKxTasC
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年10月13日
ヌルキッチ、333
3のうてないビッグマンが廃退したNBAでは、キャリア途中から3をうち始めるビッグマンが多くいます。昨年から行き場のないミドルショットを多くうち、その前兆を見せていたユスフ・ヌルキッチ。彼も流れに逆らうことなくついに3ポイントを導入し、これがモノになればリラ&マコへの恩恵は計り知れません。
Show 'em the range, @bosnianbeast27 👌 pic.twitter.com/eUYZduRJ5Q
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年9月30日
しかし、まだ10回に1,2回ぐらいしか入らないでしょう。ドフリーなら入いれちゃうよ程度に止めておいて、使いどころを間違えないでほしいです。
ディフェンスが課題
5試合すべて100点ゲームを行いましたが、ファウル過多、TO過多がひどく目立ちすぎた試合がありました。ディフェンスで期待されたザック・コリンズに期待以上のものはありませんでした。エドがいない以上、リバウンドは彼の仕事です。しかし、彼は本番になると力を発揮するタイプだと信じておきます。
最も守備で目立っていたヌルキッチはディフレクションとブロックを多く叩き出し、ポジショニングへの理解度は昨年よりレベルアップしているようでした。目標とするオールディフェンシブ1stチームはそう遠くないように感じます。チームディフェンスが機能してくるのはシーズンが始まってからでしょう。
番外編
祝・オールNBA1stチーム
The 2017-18 All-NBA First Team! @JHarden13 @KingJames @AntDavis23 @Dame_Lillard @KDTrey5 pic.twitter.com/WjlXkXtHnO
— NBA (@NBA) 2018年5月24日
ビル・ウォルトン、クライド・ドレクスラーに続く史上3人目のブレイザーになりました。これにはラッセル・ウェストブルックの方が云々...という声も多かったそうですが、記者の方が選んだ公正な結果だと信じて素直に喜ばせてください。そういう声を黙らせていくのは、やはりプレイオフで結果を出していくしかないと思います。
しかし、本当におめでとうございました。ルーキーシーズンから大けが無くチームの先頭を引っ張り続けてくれているリーダーがさらに高みに行くことを切に願っています。
I'm Trying Jennifer
これは一種の炎上商法です(笑)。CJはスポーツジャーナリストとしての一面も持っており、2018年3月からやっている自身のラジオ「Pull Up」に超大物のケビン・デュラントが2018年7月18、25日と2週にまたがって出演。英語が分かる方ならとても楽しい内容になっておりました。
https://art19.com/shows/pull-up-with-cj-mccollumart19.com
CJ:ウォリアーズは行くものじゃなく倒すものだ。だから(ブギーの判断)が...。
KD:でもCJ(のチーム)はチャンピオンシップに勝てないでしょ?
CJ:うっ...でも...!
KD:俺は(そのチームが)あるよ。なんでもできるチームが。
CJ:でも俺たちが第3シードまで行ったことは事実だ。
KD:あれ?プレイオフどうだったっけ?え、いた?
(多分)このような会話が交わされ、そしてこれが公の電波に乗ってしまったことが発端となり、ツイッター上での口論(?)に繋がりました。しかし、KDが言っていることは120%事実であり、反論しようのない事です。CJが言っていることは負け犬の遠吠えぐらいにしか思われません。
KDからすれば、ただの世間話ぐらいに思ってたけど、思ったより広まっちまったなぁ...って感じではないでしょうか。まぁ、しかし彼らはバスケットボール選手です。決着は試合でつけましょう。逆に火が付きましたよ。ねぇ、ジェニファー!
Im trying Jennifer
— CJ McCollum (@CJMcCollum) 2018年8月15日
そして、この騒動の後「Pull Up」のリスナーは大幅に増えたそうです。
2018-19シーズン開幕へ
選手名 | タイトル/希望成績 | |
---|---|---|
デイミアン・リラード | MVP | FG45%↑ |
CJ・マッカラム | オールスター | フリースロー数↑ |
ユスフ・ヌルキッチ | オールディフェンシブ | FG%, ブロック数↑ |
アル・ファルーク・アミヌ | オールディフェンシブ | 3P40% |
モーリス・ハークレス | 3P40%, 10pts, 健康 | |
エバン・ターナー | FG50%, 4ast | |
マイヤーズ・レナード | ローテーション復帰, 5reb, 3P40% | |
ジェイク・レイマン | 15分以上でローテーション定着 | |
ザック・コリンズ | 25分↑, 8reb, 1.5blk | |
ケイレブ・スワニガン | 5pts, 5reb | |
ウェイド・ボールドウィン4世 | 5pts, 2ast | |
セス・カリー | 10pts↑, 2ast, 3P40%↑ | |
ニック・スタウスカス | 6pts, 1ast, 3P40%↑ | |
ゲイリー・トレントJr. | 50試合以上出場, 3P50本成功 | |
アンファーニー・サイモンズ | 50試合以上出場 | |
50勝 & ウェスタンカンファレンスファイナル進出 |
最高のオーナーをありがとう...ポール・アレン
We miss you.
— Trail Blazers (@trailblazers) 2018年10月15日
We thank you.
We love you. pic.twitter.com/rxkn1IjJ0R
本当に、彼のために戦うシーズンになります。
Week1のブレイザーズ
盟主・レイカーズに目下15連勝、さらにレブロン・ジェームズはローズガーデンでは勝てず、極めつけにブレイザーズは現在開幕試合17連勝中。この相性最高絶好調を味方につけ、今年もBEAT L.A.(from Oregon)と行きましょう!
デマー・デローザン&ラマーカス・オルドリッジのミドルに対するディフェンスはもちろんターンオーバー、ファウルを含めた細かな部分の修正が試される試合。そして、負傷者続出のスパーズカード層は非常に薄いので、新・ガードラインナップの威力を見せる絶好の機会。