Week12──元旦から粘りに粘ったブレイザーズ。結果として2勝1敗でしたが、勝敗以上に得たものは大きいです。最も厳しかったスケジュールを超え、そして苦しかった時期を乗り越え、これから勝利街道へと向かう準備は整いました。
#38 1月1日(火) at サクラメント・キングス
New Year's Day | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | OT | END |
---|---|---|---|---|---|---|
Trail Blazers (22-16) | 26 | 38 | 19 | 20 | 10 | 113 |
Kings (19-18) | 25 | 25 | 27 | 26 | 5 | 108 |
反撃
キングスは2006年を最後に12年間プレイオフから遠ざかっていて、今シーズンも最下位争いをするという予想がほとんどを占めていました。それを見事に裏切ってくれた18'19シーズン最大のサプライズチーム。
フォックス&ヒールドという新進気鋭のバックコートが中心となり下馬評を覆していく様は、15'16シーズンのリラード&マッカラムを中心としたブレイザーズに似ているため、どことなく親近感を感じます。
違う点はフォックスとヒールドの年の差。25歳だと思っていたヒールドが実は26歳だったという謎の年齢詐称(?)が発覚しました。21歳のフォックスと、どれぐらいまでバックコートメイトとなるかは分かりませんが、チームが落ち込んできたときにネックになってしまう部分だと思います。ただ、彼らの相性は抜群なので、できれば長く見たいコンビです。
キングスの強みはリーグ1のファストブレイクポイント&高い射撃率。スピードスターのフォックスでファストを稼ぎ、ヒールド(42.6%)・ビエリツァ(44.9%)・ボグダノビッチ(37%)というシューターでガンガン狙います。ペリメーターDに不安があるブレイザーズにとっては恐怖しかありません。
12/31時点 | FBPS | PITP | OFF TO | 3P% | STL |
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Blazers | 10.8(21) | 46.4(21) | 14.3(29) | .358(9) | 6.5(28) |
Kings | 22.2(1) | 52.6(5) | 20.6(2) | .384(3) | 8.2(11) |
スティールが多いわけでもないのに、ダントツのFBPSをマークしているキングス。それは追い上げ型のチームだからこその数字です。前半リードされていても、驚異的なファストブレイクにより点差を一気に縮めます。4Qの得点はリーグ1位。粘り強いチームです。
フォックスは肩を痛めていた影響からか、この日は明らかに精彩を欠いていました。ヒールドは最近3試合が不調だったものの、この日前半だけで19得点。4Qはボグダノビッチが目立っていました。
Up kings | PTS | FG | 3P | REB | AST | STL | BLK |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒールド (1st harf) | 19 | 7/11 | 5/6 | 3 | 3 | 0 | 1 |
ボグダノビッチ (4Q) | 11 | 5/8 | 1/3 | 1 | 2 | 2 | 0 |
最高の新記録
前半はセス&ハークレスの活躍もあり、試合を優位に運んでいましたが、キングスに後半だけで17FBPSを許してリードを吐き出しました。キングスは押せ押せムードへと変わり、終盤のブレイザーズのショットは入りそうで入らず、キングスのショットは立て続けに決まり、残り4分で9点差ついたときは、負けたか...と思いました。
2nd Half | PTS | REB | TO | BLK | OFF TO | 2ND | FBPS | PITP |
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Blazers | 39 | 22 | 9 | 7 | 2 | 4 | 2 | 8 |
Kings | 53 | 27 | 2*1 | 1 | 14 | 10 | 17 | 26 |
今シーズン、終盤に点差を縮められてもリードを守って何とか逃げ切ってきました。逆に中盤にリードを許すと、そのまま負けることがほとんど。本当に逆転勝利と呼べる勝利はありません。それほど4Qのマージンを縮めるのは難しく、そしてロードだと一層難しいです。けれど、やりました。やってくれました。彼が再び見えない壁を打ち砕きました。
5 × 5 | PTS | FG | FT | REB | AST | STL | BLK | TO |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ユスフ・ヌルキッチ | 24 | 5/10 | 14/16 | 23*2 | 7 | 5 | 5 | 4 |
ビッグリバウンド、ハーフコートビジョン、クラッチフリースロー&ブロック...いくつもの瞬間が彼の時間でした。リラマコが振るわなかった(3P1/14)にもかかわらず、ヌルキッチが原動力となり負けを勝ちに変えました。この勝利は"ただの1勝"ではありません。彼が真にオールスターへの扉を叩き、そしてチームが新たな扉を開く姿が見えた"きっかけ"となった試合です。
また、先日はスモールセンターのグリーンを相手にビッグゲームを行いましたが、この日は7フッターセンターのステインを打ち負かし、そしてストレッチセンターをプレイしたビエリツァとも上手くマッチアップしていました。
マッチアップに依存せず、安定したプレイを続けられればプレイオフでは強みになります。しかし、まだディフェンシブセンターとのマッチアップに勝ったことはありません。中ボスはガソルとホワイトサイド、そしてラスボスはゴベール。彼らを打ち負かせたとき、その扉は開きます。
ベストプレイ:Moe Dunk
A NEW YEARS DAY POSTER! pic.twitter.com/7yYRfu8Zvu
— Trail Blazers (@trailblazers) 2019年1月2日
#39 1月4日(金) vs オクラホマシティ・サンダー
Let's go home | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | END |
---|---|---|---|---|---|
Thunder (25-13) | 28 | 29 | 36 | 18 | 111 |
Trail Blazers (22-17) | 28 | 34 | 25 | 22 | 109 |
苦手意識?
サンダーはリーグで最も非効率的なFG%を残しているにもかかわらず、リーグNo.1のスティール&No.2リバウンドでショットの数を稼いで、非効率性をカバーしているチームです。外しても弾を込めて撃ちなおす。"数"で勝負する彼らは、スティールとリバウンドが生命線です。
1月3日時点 | FGA | FG% | 3P% | REB | STL | OFF TO | 2ND | FBPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Thunder | 93.2(1) | .455(19) | .320(30) | 48.8(2) | 10.5(1) | 21.2(1) | 15.1(4) | 17.5(5) |
Blazers | 89.7(12) | 455(17) | 356(11) | 48.5(3) | 6.6(28) | 14.2(29) | 14.2(7) | 10.8(22) |
シーズン平均10スティールを超えたチームが存在したのは、21世紀になってからまだ3回しかありません(PHI02'03/05'06CHA/15'16HOU)。それ以前は83回あったので、本当に現代のシステムではスティールを稼ぐことが難しくなっています。しかし、サンダーはハイペースでスティールを量産し、近年で最もスティールの多いチームになろうとしています。
スモールPFのようにプレイし続けているウェストブルックは、今シーズン守備では大きく貢献していますが、ジョージに大きく助けられてプレイしています。ロケッツのハーデンと同様にジョージはチームのアキレス腱です。彼のあまりにもスムーズすぎるハンドル捌きは華麗で、ファウル以外で彼を止めることはできませんでした。ベンチからはノエルが素晴らしかったです。
friendship | PTS | FG | 3P | REB | AST | STL |
---|---|---|---|---|---|---|
ポール・ジョージ | 37 | 10/23 | 5/9 | 8 | 2 | 1 |
ラッセル・ウェストブルック | 31 | 13/28 | 0/2 | 9 | 7 | 1 |
ナーレンズ・ノエル | 10 | 4/4 | - | 5 | 1 | 3 |
サンダーは現在西で3位を維持していますが、彼らはこれからリーグで最も厳しいスケジュールを持っています。すでにリーグ最下層にいるチームとは10試合戦っていて、リーグで最もソフトなスケジュールを消化してきました。ブレイザーズやジャズは、これからソフトになります。彼らがタフな週で苦しんでいる間に、ブレイザーズは追い抜かなければいけません。
また、サンダーはモーダーセンターで8連敗を喫していたようで、ポートランドでの勝利を久しく見ていなかったようです(オラクルアリーナで13連敗のブレイザーズって...)。17'18シーズンはブレイザーズがスイープしましたが、全て接戦だったためサンダーに対して得意意識はありませんが、勝手に変な意識を持ってくれることはありがたいです。
戦いは最後まで
ほぼウェストブルック&ジョージだけにやられました。特に3Qの爆発がすごかったです。けれど全体的に見れば、ブレイザーズはサンダーよりもチームとして機能していました。昨年はリラマコvsサンダーの構図で勝利を収めてきましたが、この日はそうではありませんでした。
LillaMcCo vs OKC | PTS | FG% | 3P% | REB | AST |
---|---|---|---|---|---|
17'18 | 47.8 | .474 | .352 | 15.5 | 11.0 |
Today | 33 | .323 | .214 | 2 | 13 |
マッカラムがシーズンワーストに近い試合だったにも拘わらず、試合はもつれました。やはりヌルキッチのステップアップはリラマコ+ヌルという要素をもたらしてくれています。この日はアダムスを攻守に圧倒し、キングス戦の出来事は偶発的な物では無かったことを示しました。
big feller | PTS | FG | REB | AST | STL | BLK |
---|---|---|---|---|---|---|
スティーブン・アダムス | 6 | 3/7 | 12 | 1 | 2 | 1 |
ユスフ・ヌルキッチ | 22 | 9/14 | 8 | 3 | 3 | 1 |
特にアダムスのアイソとパスを防いで、ペイントポイントを制限させていたディフェンスが素晴らしかったです。オフェンスも安定して、サンダーがダブルチームを敷いてきたシーンもありました。ヌルキッチ、本当に一皮むけましたね。
また、スタウスカスに代わって、久々に出場したレイマンが躍動しました。オフボールで輝く彼は、オフェンスが停滞しがちなセカンドユニットに活気を与えました。実質の出場は1年目ながら、出たり出なかったりの不安定なシーズンに適応していることはスゴイです。
"一貫性"は大きな弱点ですが、この日の存在感は、スタウスカスに代わって出場したことを納得する内容でした。彼とスタウスカスを争わせるのは、互いにいい刺激を与えると思います。
.@thekidet to @JLayman10 is a beautiful thing 🙌 pic.twitter.com/wyuQz43JkH
— Trail Blazers (@trailblazers) 2019年1月5日
キングス戦に続いて、残り4分で10点差をつけられる厳しい展開でしたが、そこからディフェンスの集中力は凄まじかったです。ラストショットさえ決まっておけば...というところまで追いつけたことを、ポジティブに捉えることができます。最後の2ショットをリラマコで外したので、しょうがありません。しかし、手に汗握る、素晴らしい熱戦でした。
ベストプレイ:咆哮ダンク
TAKE OFF, CHIEF! pic.twitter.com/rq2YcSBlU0
— Trail Blazers (@trailblazers) 2019年1月5日
#40 1月5日(土) vs ヒューストン・ロケッツ
vs hot team | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | END |
---|---|---|---|---|---|
Rockets (22-16) | 30 | 16 | 31 | 24 | 101 |
Trail Blazers (23-17) | 30 | 29 | 27 | 24 | 110 |
Fear The Beard
5試合連続40得点&6アシストをマークし、NBA記録を塗り替えている真っ最中のハーデン。この日はシーズンハイに並ぶ35FGAを試投するも、生産的な攻撃はできませんでした。毎試合毎試合ビッグゲームを求められ、大きな負担を背負っているにもかかわらず、今の彼なら"やってくれる"感があります。しかし...オフな日もたまにはあります。
harden stats | PTS | FG% | 3P& | FTA | REB | AST | TO |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Last 11 game | 41.4 | .435 | .416 | 14.4 | 7.1 | 9.5 | 5.4 |
Today | 38 | .371 | .294 | 7 | 5 | 7 | 7 |
ロケッツは、ウィザーズをキャストオフになったリバースを第2,3オプション&エースストッパーにしなければならないという非常事態にありますが、前半のシュートはハーデンとは対照的に、よく入りました。一瞬いい選手のように見えましたが...やはり一瞬の出来事だったようです。
Rivers stats | PTS | FG | 3P | REB | AST |
---|---|---|---|---|---|
1st half | 17 | 6/10 | 5/7 | 1 | 1 |
2nd half | 4 | 2/5 | 0/3 | 0 | 0 |
ポール&ゴードン無しで連勝しているため、彼らが復帰すればもっと上に...という算段があるはず。確かにウィングディフェンダーの穴は大きいですが、昨年のWC覇者は勝ちを知っているので、どこにいても侮れない存在です。
D、D、D
6連勝中のロケッツを破り、今シーズンを2勝1敗で終えてタイブレーカーを制しました。17'18年は1度も勝てなかった相手に、多少の負傷があったとしても勝ち越せたことは悪い事ではありません。ホットチームのホットプレイヤー、ハーデンを抑えたターナーが主役。例によってハークレスは欠場でした。
特に、2Q後半のディフェンス→オフェンスの流れは、信じられないぐらい最高でした。ハーデンを40得点以下に抑えられたことはもちろん、カペラの得点も最小限に抑えました。終始ハーデンは1人でバスケットをしていました。それでも、後半だけで29得点。前半おとなしくさせておいて本当に良かった...
そして、ヌルキッチはまたもスゴイ試合をしました。彼のスゴさは様々なところにありますが、新たに感じた進化は"右サイド"と"左手"です。ヌルキッチは主にハーフコートの左サイドで、ポストプレイを仕掛けます。そして、右に動いて右手でショットします。フェイクを混ぜても、最後は右手でフィニッシュします。
shot-chart | Hook% | Mid% | RA% | Non-RA% |
---|---|---|---|---|
17'18 | .466 | .379 | .606 | .402 |
18'19 | .538 | .440 | .581 | .380 |
昨シーズンまでは、この手のショットがサーカスになりがちだったので、ポストプレイを安心して任せることが出来ませんでした。それに手直しが入り、成功率は大きく上昇。彼のプレイは安定したものに変わっていますが、この日シーズンで(おそらく)初めて、ハーフコートの"右サイド"で"右"に動いて"左手"でショットを成功させました。
左手の安定したドリブル、そしてショット。ここまできれいに、彼が左手で決めたのを見た記憶がないです。昨年は本当に、左手じゃ入んないんだからうつなよ...とばかり思っていました。今までの不器用すぎる左手ショットを考えれば、これはあまりにも大きな進歩です。"左もある"と頭の片隅に思わせるだけで、いいんです。
ネネイの逆水平は痛そうでした...彼は本当にチョップを食らいやすいですが、大事に至らなくて良かったです。
ベストプレイ:ET on the D
🗣️GIMME THE LOOT pic.twitter.com/VPgfPzjlJ8
— Trail Blazers (@trailblazers) 2019年1月6日
Week13のブレイザーズ
13、14、15週になってようやくイースタン下位チームとの対戦が増加。11月20日のMSGでの試合では、もつれにもつれた大接戦を演じたが、11月中旬~12月初旬に起こった逆境を乗り越え、チームとして強くなったブレイザーズを見せつけたい。
再びリーグ最下位に位置しているチームとの連戦。ラヴィーンの爆発的な得点能力と、マルケネンの多量のスリーは、ハマれば脅威の存在。ブルズがリラマコに気を取られている間に、ヌルキッチがカーターJr.をノックアウトしたい。
タンクチームに苦戦し、東に所属しているものの抜け出せていないチーム。もちろんケンバにビッグゲームをされないことが必須。今シーズンのホーネッツはベンチのバランスがいいため、ベンチに交代した時にどう持ちこたえるかがカギ。ヌルキッチを上手く使って、ゼラーのいない穴を突きたい。
ビッグゲーム。ハリス&ミルサップが復帰し、ウォリアーズをも凌ぐ総合力を持つエリートチームに。スーパースター・ヨキッチを抑えるためにはアクティブハンズな守備が必須。ベンチが差をつけられないことが最も重要な点。セスやレイマンが効率的な得点を挙げたい。